ネパール

ネパールが直面する次の課題とは?災害時の公共調達

Photograph: Pim Horvers
Photograph: Pim Horvers

大地震から半月以上が経過したネパール。依然として続く余震の中で復興支援が始まっている。ネパールはどのような課題に直面するのだろうか。5月13日、世界銀行の公共調達専門家フェリペ・ゴヤは次のコメントを投稿した。

「ネパール政府は2つの要求によって板挟みになるだろう。まず、国民の復興支援の要求に一刻も早く応え、迅速に物資やサービスを届けることを求められる。同時に、税金の無駄遣いをしないことだ。」

公共調達の大変さは、携わる者には共有できる感覚だと思う。基本は単純で「見積もりを取って安いほうに決める」ということ。ただし、誰が見ても安いことを証明する必要がある。その点がとても難しい。

Photograph: Felix Weizman
Photograph: Felix Weizman

何社見積もりを取るべきなのか。広く公示すべきではないか。「安い」の定義・基準は何か。そもそもどういったスペックの物資を調達すべきか。その理由は客観的に説明できるか。

こうした気の遠くなる自問自答を繰り返し、すべて書面に残し、組織決定していく。情報公開を求められた際、誰が見ても客観的な調達であるかどうかが重要となる。どこの国の政府機関も行っている調達プロセスだろう。全ては国民への説明責任のため。

今回のネパール政府が直面する課題の難しさは、調達の妥当性を説明する相手が国民であり、物資を要求している相手も同じ国民であることだ。早さとプロセスの緻密さは、両立しない。時間と労働力が無限でない限り、迅速さを求めれば、調達準備にさく時間が少なくなり、客観性に乏しいプロセスにもなる。しかし、対応が遅ければ国民からは批判が出るだろうし、迅速に対応したとしても、事後的に調達プロセスの透明性を示せなければ、組織だけでなく、個人にも責任が及ぶ。

「大至急必要な物資だから、どこからでも良いので買ってくる」ということにはならないのが公共調達の難しさなのかもしれない。

こうした状況を踏まえて前出の専門家は、事前の枠組み合意(Framework Agreement)が重要だと指摘する。つまり、サプライヤー、調達物資リスト、価格、スペック、配送など包括的な合意を事前に決めておくことで、災害時にはそれに沿った意思決定が簡素化できるというもの。イメージとしては、「業者の選定には数週間から数か月を要するが、すでに契約があれば、それに基づいて実施するだけ」というものだろう。

日本では東北大震災以降、防災の重要性が認知されつつあるが、災害時の公共調達においても、事前の準備が重要ということなのだろう。

今回の記事では、途上国の公共調達の現場で考えられる課題について考えてみた。

 

参照記事
Felipe Goya. Shaping a procurement plan for emergencies.

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