日本

日本のODAに対する国際的評価と開発途上国による評価

Photograph: Ippei Tsuruga
Photograph: Ippei Tsuruga

開発援助の仕事をして久しいが、国際的には評価されなくとも、日本の援助について悪く言う開発途上国の人々に出会ったことは一度もない。日本の援助は良かった。日本のファンだ。そういってくれる人々が開発途上国には本当に多い。青年海外協力隊(JOCV)と一緒に活動を共にした人。日本国内で開催される研修へ参加した官僚。日本の文化や産業、日本人の心に触れたことがある人々が開発途上国で重責を担っているケースは本当に多い。

こうした事業は人とのつながりによって生まれるものであり、定量的に評価できないことが多い。エビデンスベースのアプローチが隆盛を極める中、定量的に計測できないこの手の事業は地味であり、「わかりにくい」とされる。また、こうした地道な技術協力は、人道支援とは異なり、派手な「絵」が撮れないことから報道もされない。

国際的に評価されることと、開発途上国のためになることの間には大きなギャップがあるのかもしれない。

日本はこれまで国際的なトレンドを気にせず、開発途上国のためにやるべきことを純粋にやってきた。国益や国際的な評価などは二の次。そういった下心の無いところが、他のドナー諸国と異なった日本の援助の特徴となり、異彩を放ってきた。事実、開発途上国の評価は高い。

新ODA大綱の中で日本は、国益を前面に打ち出した。日本がこれまで築いてきた下心の無い純粋な開発援助は続けられるのか。日本がこれまでのようにやるべきことを見失わず、ピュアに途上国のためになる事業を展開していくことはできるのか。

国内外の評価はいつの時代も賛否両論あるが、誰のために何をすべきなのか、見失ってはいけない価値が普遍的に存在することは言うまでもない。

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