カンボジア

カンボジア大学、学生の日常と将来の夢

大学のコンピュータルームが情報通信技術への登竜門?

Photograph: Sumyung Kaise
Photograph: Sumyung Kaise

カンボジア大学は次世代リーダー養成を目指すカンボジアの中でもトップクラスの大学である。玄関から入るとすぐ正面に階段があり、そこを上るとすぐ左手にコンピュータルームがある。

覗いてみると何人か学生が熱心にコンピュータに向かっている。何を熱心に調べているのだろう。そっと画面を覗き込むと、Facebook。お隣さんもFacebook。ほとんどの学生がFacebookをやっているではないか。やはりカンボジアトップクラスといえど、どこの国もパソコンがあれば皆やることは同じなのだ。

そう思っていた時、後ろから一人の男性に話しかけられた。この学校の生徒であり、かつ学校全体を見回るスタッフでもあるらしい。彼によれば、貧しいカンボジアの学生にとってスマートフォンはおろか自宅にパソコンがない家も多い。そのため、大学のパソコンを借りてFacebookを閲覧することが楽しみの一つになっているようだ。

Facebookでただ遊んでいるだけと捉えることもできるが、大学のコンピュータルームが情報通信技術(ICT)へ触れる第一歩となっているのかもしれない。

 

低い給料と教師の小遣い稼ぎー教育現場の実情

Photograph: Sumyung Kaise
Photograph: Sumyung Kaise

スタッフ兼学生である彼が仲間を紹介してくれるというのでついて行った。案内された部屋では7名の学生がディスカッションをしていた。彼らもまた学生でありながら、この学校のスタッフだった。なぜ学生にもかかわらず学校の業務にも携わっているのかを尋ねると、カンボジアの教育現場の実情が垣間見えてきた。

そもそも教師の給料が低いために教師は生徒に指導する他にも塾を開いたり、夜はバイクタクシーの運転手としてお金を稼いだりと、学校業務に携わる時間がないのだという。

たとえば、正規の授業が9時~12時までだった場合、まったく同じ教室で同じ生徒に「塾」と称し、13時から授業を始めたりする。さらに、教師が資料を配布する際には生徒からお金を徴収するのである。生徒のほうも教師が教えてくれないと困るのでしぶしぶお金を払うしかない。

学校業務に携わることで得られる職務経験をプラスと捉えるか、貧しい学生が自習の時間を割いて授業料を稼がねばならない状況を憂慮するかは判断のわかれるところかもしれない。

ただ、一つ確かなことは、教師の低賃金が招く、カンボジアの教育現場の実情がそこにあるということだ。

 

カンボジア大学の学生に将来の夢を聞いてみた

ディスカッションをしていた学生が私を見るや否や一人ずつ自己紹介をしてくれた。私がカンボジア大学を訪れて驚いたのが学生の英語力である。彼らの英語はとても自然で、話し方にも知性を感じる。

彼らに将来の夢、卒業後に望む進路を聞いてみた。半数以上が銀行員で、残りはまだ決まっていないという回答が返ってきた。カンボジアでも銀行員の給料は良いらしい。逆になりたくない職業を聞くと、その中に「教師」が挙がった。これはこれから教育の発展を考える上では良くない兆候ではないか。教育大国で知られるフィンランドでは憧れの職業に教師が上位ランクインするのだが、カンボジアではまさにその逆路を辿っている。

ちなみに、カンボジアで給料の高い職業は何か。やはり公務員などが挙げられるが他に意外だったのは現地のNGO職員である。NGOは団体の規模にもよるが、世界中からの援助が集まるため、給与も他の職業と比較してはるかに良いらしい。

給料の差が将来の夢に影響するのはどこの国でも同じことかもしれない。ただ、教育の盛衰こそが国家の盛衰に繋がると信じている私にとっては、教師の人気が極めて低いことに危機感を覚える出来事だった。

 

※この記事は2012年初旬に筆者が行った現地調査の一部を参照したもの。

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