国際

途上国ブログマガジンがイマイチな理由

Sunset, Beautiful

 

 

国際協力・開発途上国ブログマガジンはまだまだこれから

Old Letters

ここ2、3年くらい、The Povertistの企画・編集・執筆にプライベートの時間のほとんどを費やしてきました。その中で感じることが今回のタイトル。「ぶっちゃけ、開発途上国のブログマガジン、いま一つパッとしないんだけど」ということです。

特定の媒体を指して言っているわけではなく、むしろ、日本語で閲覧可能な開発途上国を扱うメディア全体の話です。

開発途上国をネタとしたメディアが、個人、法人問わず、随分増えてきたのは事実。私が個人ブログを書き始めた2006年頃に遡れば、「カンボジア」と検索すれば私のブログがトップに表示されたのは今は昔。それくらい、開発途上国に携わっている人がインターネット上で発信することが珍しい時代でした。

今はどうでしょうか。時代は変わり、多くのメディアが開発途上国を専門に展開する群雄割拠の時代。何度も紹介していますが、トジョウエンジンアセナビganasAfri-Quest。私がいつも楽しく読ませていただいている開発途上国ネタのオンラインマガジンでどれも素晴らしい。青年海外協力隊ブログも前回の記事で取り上げたように素晴らしい発信力です。

しかし、メディア全体を見渡すと何か物足りない。何かが足りないと感じます。

エンターテイメント要素の強い「おもしろさ」「意外性」「死ぬまでに絶対訪れたい秘境」「旅行のポイント」など、開発途上国の「未知」を日本語で日本人に伝えるメディアは確かに増えていて、私も楽しんでいます。しかし足りないのは、開発途上国が抱える経済・社会的な課題について議論するメディアです。

「開発途上国を知る」ためのメディアが相当充実してきた中、開発課題を正面から議論し、解決策についてアイデアぶつけ合う。そんなメディアが、今の日本の開発メディアには欠けていると思います。

 

中の人が書いていないのが、イマイチ

Fountain Pen

では、どうすべきか。「イマイチ」の最たる原因は、「中の人」が書いていないということだと思います。JICA、国連、NGO、ビジネス。いろいろな立場の人がいます。

「中の人」とは、途上国の開発課題を分析し、政策を議論し、事業を実施する人。そのプロセスに携わるプロフェッショナルが、インターネット上で沈黙を続けていることです。これはとても勿体ない。

世界の開発援助業界全体を見渡してみると、「中の人」がガンガン発信していることに気づかされます。一番有名なのは、世界銀行関係者によるブログマガジン「World Bank Blogs」。毎月200件くらいの記事が、総裁から若手職員まで高頻度で執筆されています。研究者や実務家が個人のブランド(名前)で発信することは一般的になってきています。

そして、互いの記事を引用しあい、開発途上国の経済・開発・社会政策についてガチンコで議論を交わすことが盛んにおこなわれています。公式なシンポジウムでも、「昨日のブログでこんなことを書いていたけど、これについてはどう思いますか?」なんていう展開もよく目にします。

 

大本営発表は読まれないが、個人名の面白い記事は読まれる

Texture

公式ウェブサイトの広報に力を入れる動きもあります。基本的に、素晴らしいと思います。広報を強化することの重要性は疑う由もありません。

しかし、公式プレスリリースほど準備に時間がかかり、面白くなく、読まれない記事はないのも事実。決裁過程で多くの人の「こだわり」や「ワガママ」のお陰で、公開される頃には当たり障りのないつまらない文章と古いネタが掲載されます。一般的にアクセス数は公開されていませんが、おそらく内部関係者からのアクセスが大半なのではないかと察します。

こんなとき、個人の名前で、ブログで発信すると早く、面白く、読まれる記事が出せると思います。実際、欧米のシンクタンクや援助機関では、会議やイベントの様子をリアルタイムで有識者がツイッターで発信したり、議事録を自分のブログで2時間後にはアップしていることが多いです。

 

「ガチ勢」増加計画-開発政策の議論をネット上で展開する

Coffee PC

ガチ勢。最近気に入ったコトバです。たぶん「ガチンコ勢力」といえば、オジサン世代にはわかるのではないでしょうか。開発途上国を扱うメディアはすべてガチ勢です。

その中で、開発政策をガチンコで議論するメディアとして、ガチ勢としてThe Povertistが場を提供していけたらと思います。

中の人が書かないと面白くないし、盛り上がらない。

大本営発表の時代は終わり、個人ブランドの時代が来ています。

開発途上国で開発・経済・社会政策に本気で取り組んでいる方からのご連絡お待ちしています。

また、開発途上国のエンターテイメント要素の強いメディアの皆さんからのご連絡もお待ちしています。

面白いコラボ企画で盛り上げていきたいと思います。

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