カンボジア

スヴァイリエン-カンボジア・ベトナム国境の街

カンボジアレポート 10-格差、貧困、そして農村の良さ

3月25日 SvayRieng (Cambodia)

写真: 市場。3月26日撮影 (2006年 THE POVERTIST / Ippei Tsuruga)
写真: 市場。3月26日撮影 (2006年 THE POVERTIST / Ippei Tsuruga)

それはまるで雲を突っ切って山頂へ到達したときのような感覚だった。それまで見ていた風景が一気に変わり、目の前に雲海が広がったような錯覚を覚えさせられたのである。
首都プノンペンの賑やかな街並みを初めて見たとき、僕は「この国は思っていたよりはるかに発展している」と感じたものだった。しかし、その感想が一気に吹き飛んだのである。
プノンペン市の中心部に位置しているホテルを出てから、まだ1時間も走っていないだろう。中国語に彩られた看板、所狭しと並ぶ家々、道路を埋め尽くすバイク。首都プノンペンで見た華やかな風景は、わずか数十キロ車を走らせれば、影も形もなくなってしまうのである。それはまるで飛行機で別の国へ行ったような感覚に似ている。
僕ら一行を乗せた車は南東へ三時間のところにあるスヴァイリエンというところへ向かっていた。スヴァイリエンはカンボジアとベトナムの国境沿いに位置しており、最貧国の一つとされるカンボジア国内においても、最も貧しい地区とされる。果てしなく続く道路。地平線まで広がる枯れた水田。ガリガリの犬。痩せこけた牛。麦藁帽子の少年は牛の大群を率いている。
僕の実家は十勝平野に位置し、そこは日本を代表する畑作地帯だ。だから、広大な平野には見慣れているはずだった。しかし、メコン川の作る大デルタ地帯には山一つなく、圧倒されずにはいられなかった。
カンボジアの田園風景は古き良き日本の長閑(のどか)な情景を思わせ、心を和ませてくれたのだった。

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