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日本の食糧危機-食べ物はどこへ行く

In Tokushima
In Tokushima

徳島 の山奥で泥まみれになってきた。山川という小さな町にはこの時期、収穫直後の田んぼと田植えを待つ泥の池が混在する。実は生まれてこの方、田んぼへ入った ことがなかった。当然、田んぼの中で「だるまさんが転んだ」なんてしたことはなかった。帰り道を泥だらけの若者が歩いていると、何とも面白い。農村のノン ビリとした風景にまるでそぐわない光景だった。畑作業をしているおばあちゃんも、ずっとその様子をうかがっていたようで、「やっと終わったかい。へっへっ へ。」と、何やら嬉しそう。この山奥の農村で農作業をしている人は皆老人ばかりだった。

日本の食糧自給率40%。農業就労人口の減少には歯止めがかかっていない。「食糧危機なんて外国のどこか貧しい国のこと・・」そんな時代が懐かしくなるのもあと数年といったところだろうか。

1kgのステーキを食べると、20kgのとうもろこしを食べていることになる。地球には限られた土地しかなく、そこで穀物を作り、みんなで分けなければならない。昔、学校給食で出る青りんごアイスが大好きだったのを今で も覚えている。もし誰かが青りんごアイスを3つも4つも独り占めしていて、僕のところに1つも残らなかったら、それは我慢ならなかったはず。それと同じこ とが世界で起きている。

ところで、バイオエネルギー。聞こえが良い。とうもろこしなどの穀物からエタノールを作り、車の燃料なんかにするらしい。自動車メーカーがこぞって研究を 重ねている最中だそうだ。昨日ガソリンを入れたら、160円/Lだった。エタノールなら100円前後になるとの予測もある。安い。科学技術の進歩に万歳で もしようか。万歳。

石油は枯渇するけれど、穀物はなくならない。毎年作ればいいでしょ。単純に言えば、そういう発想なのだろうか。日本人が車を運転するために、アフリカやア ジアのどこかに食糧が行き渡らない。とうもろこしから車の燃料を作るということはそういう恐れもある。もうこのエタノール計画は後戻りできないところまで 進んでいるだろうから、きっともうすぐエタノールスタンドができるのだろうけど、その後何年もつかな。「いやー、失敗だった。失敗。ごめんねー。また違う 方法考えなきゃ。」というお偉いさんの声が今にも聞こえてきそう。

数年後、エタノールが燃料として広まって、食糧危機がもっと身近になったとき、僕らは街で焼肉屋を見つけることができるだろうか。今、農業が軽視されているけれど、本当に重要な産業は過去にも未来にもやっぱり農業なんだな。最近ほんとそう思う。

さて、明日は焼肉屋でもいこうか。あと何年焼肉が食べられるかわからないから。

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