ナイジェリア

経済成長という名の皮肉-ナイジェリアの貧困と成長

photo credit: World Bank
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経済成長という名の皮肉

ナイジェリアの貧困層にとって経済成長は皮肉に聞こえるかもしれない。ナイジェリアはアフリカ大陸指折りの経済規模を誇っているが、経済成長は貧困層を手助けするには至っていない。先日、ある記事(When Will Poverty Level Reduce in Nigeria?)を読んでいて、2年前に書きかけた文書のことをふと思い出した。既に忘れていた走り書きのような文書だが、ナイジェリアの貧困と成長について考える題材にはなるかもしれない。今となっては編集する術もないので、当時の文章と分析結果をそのまま紹介する。

 

 

ナイジェリアの経済成長・貧困・不平等

ナイジェリアは過去10年で目覚ましい経済発展を遂げた。一人当たりGDPは1985年からコンスタントに30%上昇した。トリクルダウン仮説が正しいのなら、この間の貧困率も改善するはずだが、そうはならなかった。1985年から2009年の間、貧困率は62%から68%へと悪化。貧困ギャップや貧困二乗ギャップも同様に悪化の一途をたどった。そして経済成長と悪化する貧困率は結果として不平等の上昇を生んだ(鶏と卵だが)。ジニ係数は39から49まで上昇。

 

貧困削減を妨げる要因

物価上昇

要因は数多あるが、その一つはインフレだろう。ナイジェリアの物価上昇率は、年率10%を超え、時には20%や40%と振れ幅が非常に大きいものだった。

Growth and Poverty in Nigeria

Inequality in Nigeria成長パターン

成長パターンも貧困層に有利な傾向にはない。貧困削減を実現するためには、貧困層の所得・消費水準を上昇させる必要がある。しかし、成長発生曲線(Growth Incidence Curve)を見ると、ほとんどの場合、右肩上がりの傾向にあることがわかる。つまり、経済成長は富裕層の生活水準の上昇によって牽引され、貧困層の生計向上は限定的だったと推測される。また、セクター毎の成長率も貧困削減を進める要因にはならなかった。

Growth Incidence Curve in Nigeria

Sectoral Growth in Nigeria

Sectoral Share of Growth in Nigeria

Sectoral Share of Employment in Nigeria

参考資料

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