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公共財政管理が開発途上国を変える

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開発途上国の援助に携わる日本人関係者からよく聞く「ボヤキ」がある。「途上国政府が予算を確保すると約束したのに、パイロット案件が終わる頃になって予算がないと言われた。」小規模にテストケースとして実施していた事業が終わり、「よし、これから全国展開」というときに、開発途上国政府が予算を確保していない。こんな経験はないだろうか。梯子を外されたと怒る職員や専門家を幾度となく目にしてきた。

立ち止まって考えてほしい。公共財政管理を頭の隅において事業を実施してきたか?開発途上国の予算年度を意識した事業計画を行ってきたか?予算が確保されない原因を調査したか?

例えば、農業分野の取り組みは農業省をカウンターパートとしてやっていればよかった。しかし、公共財政管理を考慮せずに案件計画を行うと、プロジェクトの持続性が担保されない冒頭の状況に直面することとなる。

開発途上国の政府にとっては、農業へ投資をするか、教育へ投資をするかは、財源をどちらへ振り向けることが効果的なのかが焦点となる。一方、パイロット案件の専門家は、自分の案件を第一に考える。ここに意識のズレがある。担当案件をスケールアップして欲しいことはよくわかるが、政府にとっては他のセクターや案件との横並びで予算配分を考えることが重要なのは言うまでもない。

今、公共財政管理(Public Financial Management: PFM)に注目が集まっている。開発途上国の援助のプロフェッショナルには、公共部門全体を俯瞰し、財政計画から会計報告までの流れを大まかに把握しておくことが求められている。それぞれの開発途上国の公共部門に合わせた予算規模と業務フローで事業を計画し、実施・モニタリングしていくことの重要性が認識されつつある。

次回は、2月10日に開催されたワシントンDC開発フォーラムで議論された公共財政管理のポイントを振り返ることとしたい。

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