国際

持続可能な開発目標(SDGs)へICTはどのように貢献できるか?

Sustainable Development Goals先日投稿したSDGsとICT4Dに続いて、続編です。SDGsへどうICTが貢献するのかという点について、国際開発ジャーナル2015年12月号の記事を元に少し書いて見ます。

まずSDGsの背景にMDGsがありますが、この成果として言われる代表的なものは、「一日1.25USD以下で暮らす再貧困層が1990年の19億人から2015年の8億3600万人まで半減した(人口比でいくと1990年の約47%から2015年の14%)」という点、「初等教育では1990年に80%だった就学率が2015年には91%になった」とう点や、MDGsという単純明快なゴールが世間一般の注目を集め、その結果、各ドナーもこの目標達成に向かって積極的な活動を実施出来た点だろうと思います。

ただし、その目標が単純明快なだけに、「取り残される人達や地域」が出来ちゃったというのが反省点。例えば、国内でも支援を受けて改善された地域とそうでない地域の格差が広まってしまったり、紛争地の人々や女性などが発展から取り残されるといった課題も。

その反省から、SDGsでは「誰一人取り残されない」という点がキーワードの1つになっています。んじゃ、どうすれば格差や取り残される人をなくせるのか?

そこで注目が集まるのがICTの活用。

どこにどんだけの援助(資源の投下)が行われているのかを明らかにするために、データの見える化が重要と言われています。例えば、英国国際開発省(DfID)はコロンビア大学とも協力し2014年「ナイジェリアMDG情報システム」を公開し、ナイジェリア国内の開発の状況をMDGsの目標に沿って見える化することを実践しています。個人的には本当に使えるシステムにするには並大抵の苦労じゃないだろう(=このシステムの構築と運用維持管理にも結構な金がかかるんだろうなぁ)と思いつつも、こういう試みは重要だと思います。

国際開発ジャーナル2015年12月号の記事では、JICAの方もインタビューされており「SDGsを受け、オープンデータ化の波は世界中で加速するだろう」、「JICAも今後、大量のデータ(ビッグデータ)を収集・解析する技術への対応を進める必要がある」と言っていました。

オープンデータ、ビッグデータの途上国開発への活用という点では、自分の知る限りでは世銀が先陣を切っていたと思います。2010年にこのICT for Development.JPでも「Apps for Development」という世銀の実施したオープンデータ活用アイデアコンテストの紹介をしていました。その後、どんなアイデアが大賞を取ったのか?と思い改めてチェックしたところ、いくつかのアイデアがサイトに掲載されていました。

ぱっと見た感じでは、まさしく「データの見える化」を行うアプリが多い感じです。一例としてひとつの受賞作品の紹介動画を以下に載せます。

ふと思うところでは、これは2010年のコンテストの話なので、大分昔。今はもっと違ったアイデアが出るんだろうと思います。例えば、こういうビジュアル化された各国の開発状況を見ながら、「そいじゃ、A国の農業分野のこのプロジェクトに◯◯円寄付しようかな」と思い立ったら数回クリックするだけで寄付出来ちゃうとか、普段の生活(食べ物、洋服、見たテレビや映画など)から途上国との繋がりを気づかせるような試みとして「今日のコーヒーはどの国のどの農場からのコーヒーかな?」と思って検察すると、エチオピアのベテレゲラのワイルドコーヒーに関連するプロジェクトが出て来て、クリック数回でそのプロジェクトに寄付したり、フェアトレードのコーヒーが購入出来たりとか、自分の誕生日を入力すると途上国に住む同じ誕生日で奨学金を必要としている子供がヒットして支援出来るとか、そんな感じのことが出来るようになるのかなぁと思いました(自分が知らないだけでもうあるのかも?)。

上記のようにJICAもオープン・データ(ビッグ・データ)の活用を検討しているということですが、個人的には世銀同様にアイデア・コンテストとして公募したら面白いんじゃないかなと期待してます。

ICT for Development.JPより転載

Comments are closed.