インドネシアの社会保障制度において、生活保護制度は極めて大きな割合を占めている。この生活保護制度は2000年代から始まり、現在では年間約1000万世帯が受益している。平均的な家族構成を5人と仮定すると、約5000万人が生活保護を受けていることになる。これは世界最大規模の生活保護制度といえ、社会保障財源の税財源の約20〜25%が当てられている規模の大きな国家プロジェクトである。
月: 2025年5月
インドネシアの政策対話と社会構造の課題
インドネシアは2023年に65歳以上の人口が全人口の7%を超え、国際連合人口基金(United Nations Population Fund: UNFPA)の定義による「高齢化社会」に突入した。多くのインドネシア人やメディアは依然として「人口ボーナス」を語り続けているが、財務省や人口動態を研究する専門家の間では危機感が広がっている。推計によれば、インドネシアは2045年頃に高齢者人口が14%を超える「高齢社会」へと移行する見込みである。
インドネシアの政策形成における独自路線志向と国際基準との乖離
インドネシアにおける政策形成過程では、国際基準や他国の事例よりも国内情勢が優先される傾向が強い。数百回に及ぶ政策対話の経験から見えてきたのは、人口大国としてのインドネシアが国際情勢の論理をよりも、自国の国内事情を最優先させる姿勢である。
メーデーでインドネシア大統領が約束した3つのこと、アウトソースの禁止など
2025年5月1日、インドネシアのプラボウォ大統領がスカルノ大統領以来初めて現職大統領としてメーデーの全国集会に参加し、注目を集めている。労働組合の幹部やメンバーが集まる場で行われたスピーチでは、労働政策に関する3つの重要な約束が表明された。