2025年5月1日、インドネシアのプラボウォ大統領がスカルノ大統領以来初めて現職大統領としてメーデーの全国集会に参加し、注目を集めている。労働組合の幹部やメンバーが集まる場で行われたスピーチでは、労働政策に関する3つの重要な約束が表明された。
第一に、政府内に出稼ぎ対策のタスクフォースを設置することが改めて確認された。これは以前からコミットされていた政策であるが、実行力については未知数である。インドネシアの政策は表向きの発表にとどまることも多く、過度な期待は禁物だろう。しかし、出稼ぎ対策に取り組むという政府の公式な姿勢が再確認されたことは意義がある。
第二に、全国労働者福祉審議会(National Workers Welfare Council)の新設が発表された。これは完全に新しい提案であり、政府内部でも大統領のスピーチで初めて知ったという状況のようだ。実際、労働省内では大統領発言を受けて急遽対応が始まったとされ、事前の積み上げがないままトップダウンで打ち出された政策という印象が強い。これはインドネシアでは珍しくない政策立案プロセスである。
第三に、最も注目を集めているのがアウトソーシングの禁止に言及したことだ。労働組合が長年要望してきたアウトソース禁止について、大統領が明確な態度を示したと大きく報じられている。メディアはすでに「政府がアウトソーシングを禁止する」と報道しており、労働組合側の期待値も高まっている。
しかし、この政策も事前準備なく突如表明されたものであり、今後どのように具体化されるかは不透明だ。アウトソーシングを行っている企業は多数存在し、全面的な即時禁止は現実的ではない。全従業員を直接雇用に切り替えるよう一律に要求することも困難であろう。
現在、インドネシア政府は雇用創出法(Cipta Kerja: Job Creation Law)の改正法案を2年以内に策定するよう求められており、2013年労働法第13号も抜本的に改正される見込みだ。このプロセスの中でアウトソーシングの扱いについても議論されることは確実である。ただし、全面禁止という文字通りの実施には至らない可能性が高い。
政府としては大統領の発言を形にするための何らかの対応は行うだろうが、どのような妥協点が見いだされるかが注目される。インドネシア経営者協会(APINDO)も今後の制度設計や労働法改正の議論に関わることになり、状況の進展に応じて情報発信を行う予定である。
※この記事は、AIが筆者の音声ファイルを文字起こし・執筆し、筆者が編集したものです。