ブルンジ

自然災害から逃れるブルンジの国内避難民

Photograph: USAID

東アフリカに位置するブルンジは農業を主要産業とする内陸の小国であるが、人口は一千万人を越えるため、アフリカの中でもトップレベルで人口密度が高い国となっている。しかし、2018年の現在でも、人口の八割以上が一日1.25米ドル以下での生活をよぎなくされており、人間開発指数[1]も189ヶ国中185位。サブサハラ・アフリカ諸国の中でも深刻な貧困状態にある。

また、海抜770メートルのタンガニカ湖とブルンジの西側が隣接しており、特に洪水等の自然災害に脆弱なコミュニティであるといえる。今春にガツンバ地区(首都ブジュンブラから約12キロメートル)で起きた大規模な洪水被害[2]は、コミュニティ周辺の二つの川(ルシジ川1及び2)とタンガニカ湖からの流入が氾濫を起こしたことが原因だった。NGO、ブルンジ政府、国連機関等の合同評価報告書によると、この洪水の被害を受けたのは12,956 人となっており、その内の大多数が女性や子どもなどの、より弱い立場の人々となっていたとのことだった。しかも、被害を受けた全員に援助の手が差し伸べられたわけではなく、2,500人以上の人がホームレス状態となっていた。

国連人道問題調整事務所(OCHA)[3]によると、国内避難民(Internally Displaced Persons: IDPs)とは、内戦や暴力行為、深刻な人権侵害や、自然もしくは人為的災害などによって家を追われ、自国内での避難生活を余儀なくされている人々を指す。機関間常設委員会(Inter-Agency Standing Committee: IASC)は報告書で、国内避難民の永続性ある3つの解決方法を提言している[4]

  1. 元々の出身である故郷に再統合されること
  2. 現在、避難しているコミュニティに統合されること
  3. 自国内のどこか別の場所に統合されること

また、IOM(国際移住機関)の国内避難民数に関する最新データ[5]によると、2018年8月の段階で、ブルンジには159,152人の国内避難民がおり、そのうちの74%が自然災害によるものだった。

現段階では、国内避難民に対する永続性のある解決方法を模索することしかできない。しかし、先日、ブルンジで仕事をしていた際に思ったことは、国内避難民が元々の出身である故郷に再統合されて、果たして彼らの生活水準は向上するのだろうかというとだ。やはり、洪水被害に遭いやすい地域は概ね限定されており、元の場所に戻った所で再度同様の被害に遭ってしまうのではないかという懸念をぬぐい切れない。

ここで言及しておきたいのが、FoE Japan[6]によると、今後の気候変動を考慮すると、水文気象学関連の災害は拡大の一途をたどることが予想される。その際に多くの被害が予測されるのは、やはり候変動に対応するための資金、技術、インフラが不足している途上国であるということだ。


[1] UNDP. 2018. Human development index.
[2] ReliefWeb. 2018. Floods in Gatumba – emergency plan of action (EPOA).
[3] UNOCHA. 2018. 国内避難民.
[4] IASC. 2010. IASC Framework on durable solutions for internally displaced persons.
[5] IOM. 2018. DTM Burundi.
[6] FoE Japan. 気候変動適応対策.

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