シリア

トルコで暮らすシリア難民に明るい未来を

 

Photograph: I. Prickett/UNHCR
Photograph: I. Prickett/UNHCR

国外避難をした多くのシリア人が、一時的な白いテントで暮らす様子や、危険な船で近隣国にたどり着く映像は、世界のメディアで多く報道されています。しかし、世界人道サミットが開催されたトルコでは、難民キャンプで暮らすのは、275万人のシリア難民のうち、たった10%に過ぎません。他の人々は私たちと同じようにトルコの町に暮らしているのです。トルコの南東部を中心に、シリア難民たちはトルコ国内で静かにトルコ社会に融合して暮らそうとしているのです。

想像してみてください。あなたの家の隣に、新たな隣人が引っ越してきたとします。あなたは、その隣人と知り合いになりたいと思いますが、言葉が通じず習慣も違うので、なかなか近しい関係になることができません。または、あなたは短期の仕事を探したいと思っていますが、就業許可を得るのはほとんど不可能です。このような状況が、まさに今のトルコの現実なのです。キリスでは、人口の50%以上がシリア人で、これはガジアンテプ県の22.5%に相当します。過去5年間、シリアからトルコに避難した親を持つ乳幼児は15万人以上になります。

シリアでの紛争が悪化する中、トルコは支援を必要とするシリア人に幅広く対応してきました。たとえば、今年の2月、トルコは10億米ドルを投じて、短期的な支援を必要とするシリア人に対し無償の保健や教育のサービスを提供しました。2016年の初頭には、トルコ政府はシリア人の就業許可申請を認可する法案を通しました。

しかし、終わりの見えないシリアの紛争は、トルコに居住するシリア難民が将来的にどのような状況になるか見通すことを難しくしています。ひとつ明らかなことは、トルコ国内のトルコ人とシリア人が平和に暮らし、経済的に自立し、公共サービスの恩恵を受けるためには、大規模な投資が必要であるということです。避難民の尊厳や生活の質を確保し、彼らが住む環境を維持するには、国際社会が協力していかなければなりません。労働市場の活性化や技能と財源の向上、社会サービスや地方機関の機能向上などを図る必要があります。

雇用については、単純作業の雇用は増加傾向にあります。たとえば、多くのシリア人とトルコ人が南東部のアナトリア地域で建築業の単純作業に就いています。この地域では、失業率を下げ経済を軌道に乗せるためには2018年までにさらに26万人分の雇用を創り出す必要があります。これには、シリア難民とトルコ国民の両方を対象として就労トレーニングを実施し、農業、食品加工、衣料産業などの大きな雇用を生み出す新たな分野の仕事を創り出す必要があります。

公共サービスも、たとえば、キリスの難民キャンプに暮らす113万人のシリア難民がガジアンテプ県とサンリウファ県で出すゴミは大量です。清掃車両や清掃職員はフル稼働で対応していますが、処理しきれない状態が続いており、ここに雇用の機会があります。さらに、新たな病院が建設されれば、1万8000人の医療従事者および非医療従事者の雇用を創出し、また新たな学校が作られることによって2万人の雇用が創出されると考えられています。

国連開発計画(UNDP)は、EU、アメリカ政府、クウェート政府とともに、これを実現しようとしています。UNDPは、避難民を支援するトレーニングプログラムを打ち出し、地域コミュニティで雇用を促進しています。しかし、他にもやるべきことはあります。国際社会は緊急支援だけではなく、シリア難民とトルコ人が持続可能な生活しやすい環境を構築するために、より長期的な計画に投資する必要があります。イスタンブールで開催された世界人道サミットは、将来世代が確かな未来を築くために必要な支援を確認する場となりました。トルコも、自国の明るい将来を見据えて、シリア難民の人材の活用を推進すべきでしょう。

世界では、祖国を追われ難民となった人々が難民でいる平均的な期間は17年と言われています。考えてみてください。10歳のシリア人の少女と彼女の隣人の10歳のトルコ人の男の子のことを。もしこの平均年数が正しいとすれば、彼らは若い成人として共存することになるのです。

 

記事全文(英語)はこちら

カマル・マルホトラ国連常駐調整官兼UNDPトルコ事務所代表

 

国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所ウェブサイトより転載

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