アフリカ

第6回アフリカ開発会議が閉幕-初のアフリカ開催、歴史的成功へ貢献

Student writing notes, Kenya

ナイロビ宣言を採択

8月27日よりケニアの首都ナイロビで開催されていた第6回アフリカ開発会議(TICADVI)は、安倍晋三首相や、ケニアのケニヤッタ大統領および35ヶ国のアフリカ首脳を含む3,000名以上の参加者が2日間の議論を終え、その成果として「ナイロビ宣言」を採択。8月28日に閉幕しました。

初めてアフリカで開催されたTICADVIにおいて、JICAは8月25日から28日まで4日間にわたって、18のTICADVI公式サイドイベントを開催し、また、8つの他団体のイベントに協力しました。JICAは「ナイロビ宣言」で発表された日本の今後の支援策に基づき、引き続きアフリカの開発に貢献していきます。

 

ナイロビ宣言と日本のアフリカ支援パッケージ

TICADVIの成果をとりまとめた文書として採択されたナイロビ宣言では、アフリカの新たな課題に取り組むため、優先分野として以下の3つが盛り込まれました。

  1. 経済の多様化と産業化を通じた経済構造転換の推進
  2. 生活の質の向上のための強靭な保健システムの推進
  3. 繁栄の共有のための社会的安定性の推進

これらに貢献する具体的支援を実施するため、日本政府は、2016年から2018年の3年間で、3兆円の官民によるアフリカ支援パッケージを発表しました。

JICAは政府開発援助の実施機関として、2013年のTICADVで表明された目標の2017年までの達成とともに、今回発表された支援パッケージのうち、以下のような具体的支援策を実施していきます。

  1. アフリカ開発銀行との協調による最大33億米ドル(3,300億円相当)の融資
  2. ABEイニシアティブの継続、カイゼン・イニシアチブ、などによる産業人材の育成
  3. UHC(Universal Health Coverage)の推進、「食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA: Initiative for Food and Nutrition Security in Africa)」など保健分野での協力

 

アフリカ、日本、世界に対するJICAのメッセージ

8月25日から28日の4日間にわたり、JICAはTICADVIの3つの優先分野、およびアフリカと日本、国際社会にとっての新たな課題に関する18のイベントを開催しました。農業や保健、産業開発、貿易促進、環境問題など引き続き取り組んでいく分野に加えて、栄養改善や女性のエンパワーメント、アフリカ開発における日本企業の役割などについても、参加者と活発に議論を行いました。

8月28日にケニヤッタ国際会議場で開催したハイレベルパネルには、カガメ・ルワンダ大統領、サーリーフ・リベリア大統領、オバサンジョ・ナイジェリア元大統領、アデシナ・アフリカ開発銀行総裁、スティグリッツ・米国コロンビア大学教授(ノーベル経済学賞受賞者)をパネリストに招き、北岡伸一JICA理事長がモデレーターを務め、「2063年、さらにその先に向けてのアフリカ(Africa, toward 2063 and beyond)」とのテーマの下、パネルディスカッションを行いました。2063年は、アフリカの長期開発ビジョンとして、アフリカ連合(AU)が2014年に採択した「Agenda 2063」の目標年です。各パネリストは、それぞれの長期的視点から、21世紀半ばに向けての様々なイシューや課題を提起しました。例えば、アフリカ経済の構造転換と多様化、若者と女性の教育とエンパワーメント、日本とアフリカの政治・経済両面でのパートナーシップの強化、国際社会におけるアフリカの役割と貢献の可能性などです。

最後に、北岡理事長は、アフリカと日本・国際社会の政治・経済両面での真のパートナーシップ及び平等で包括的なアフリカと日本・国際社会のパートナーシップの重要性を強調し、それを実現するためにアフリカに対して日本と国際社会がナイロビ宣言での合意に基づいた支援を実施する必要性を訴え、議論を締め括りました。

このほかJICAは、電力開発や市場志向型農業振興、貿易活性化、UHC、食料安全保障と栄養改善、科学技術協力、平和とレジリエンス(強靭性)、砂漠化対処、アフリカ開発における日本企業の役割などのサイドイベントにおいて、アフリカが抱える新たな課題に取り組んでいくための方策を議論するため、積極的に知的貢献を行いました。また、日本政府が表明した支援策の実施を通じて、アフリカの開発努力を引き続き支援する旨のメッセージを、アフリカ各国と国際社会に向けて発信しました。JICAは、その豊富な現場経験に基づき、アフリカの開発課題に対する効果的な解決策を提供すべく、アフリカ各国政府、民間企業、国際機関、先進・新興各国、市民社会、学識者などとともに、新たな課題に積極的に取り組んでいきます。

 


プレスリリース配信元:国際協力機構(JICA)

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