国際

国際機関邦人職員インタビュー:UNICEF 伏見暁洋さん

UNICEFジュネーブ事務所で民間資金調達・パートナーシップ部門のプログラムマネジャーとしてご活躍された伏見暁洋さんを囲んでお話を伺いました。2016年7月にタイのUNICEF東アジア・太平洋地域事務所に異動されるにあたって、ジュネーブでのお仕事、最近終えた博士課程の事などについて振り返って頂きました。

※2016年9月に執筆された原稿です。

ーーなぜジュネーブのポストへ?

それまでガーナやケニアで教育プログラムの仕事をしていたのですが、その関係で今の上司と知り合い、現在のポストに誘われました。私が今いる部署は民間との資金調達、パートナーシップを行っているのですが、そうした資金をより戦略的に動員・調達するために現地でのプログラムの経験がある人材を求めていました。

現場から離れた本部の仕事にはあまり興味がありませんでしたから、最初はすぐに断りましたけどね(笑)。それでもそのポストの適任者が中々見つからなかった事もあり強く誘われたので、考えなおしてジュネーブに来ることにしました。

ーーなぜですか?

それまでずっと教育分野で仕事をしてきたのですが、一度違う経験を積んでみたいと思ったからです。それと、UNICEFの職員は最初に専門分野でずっと仕事をしてきて、後になって専門分野を超えて国の事務所長などの管理職を目指す人も多いのですが、皆なかなか思い通りのポストを獲得できません。

理由は色々あると思いますが、それまでに専門分野以外の経験が全くなかったり、組織全体のマネージメントといった「大局観」を持っていなかったりすることが、キャリアチェンジがうまくいかない要因となっていると個人的に感じました。そこで40代前半までに一度本部でマネージメントの経験をしておくと、将来管理職になりたいと思うようになった場合も含めて、キャリア後半の選択肢が増えていいかなと思ったのです。

ーージュネーブに来てからはどうでしたか?

最初は後悔しましたね (笑)。現在の職場の同僚のほとんどは民間企業からきた人々で、マーケティング、ブランディングなどの職務経験はありますが、開発援助の知識や現場での経験はほとんどありません。ですから我々のような現場あがりはごく少数で、よそもの扱いでした。

それまで資金調達はいかに多くの資金を確保するかが優先順位で、その内容や質についてはほとんど重要視されていませんでした。そこで私なんかがいろいろと意見をいったりすると反撃をされることも多く、最初はかなり凹みましたね。

それでも上司と共に現場から人材を少しずつ集めて、あきらめずにやってきたことが、徐々に認められてきたように思います。

 

 次ページ 10億も50億も関係ない

Comments are closed.