アジア・大洋州

夢を持てる労働環境を

Photograph: Ippei Tsuruga

いまアジアでは若者たちの転職や失業、そして低い賃金の問題がクローズアップされている。国連の2016年の統計によると、アジア太平洋地域の全就業人口の中で、若者(15-24歳)が失業する確率は大人(25歳以上)が失業する確率より3.8倍高いという結果が出ている。東南アジアではそれがさらに高く5.4倍というから驚く。不安定な派遣労働や臨時雇用の影響、低賃金や労働条件の悪化などの問題が要因になっていると思われるが、それにしてもわれわれ人類の将来を託す若者たちが置かれている現状に胸が痛む。

若者たちの失業する確率が高いというのは、雇用が不安定なために長く続かないか、仕事に満足できないか、労働条件やそれに見合う報酬に合意できず、転職を余儀なくされるというケースが多くあることだろう。若者たちが夢を抱けるような職場環境を創れないのだろうか、と思う。

長く持続している好景気に伴い、収益の改善による資本増強が日本では当たり前のように行われ、法人企業統計年報によると、過去10年以上、日本の全産業の自己資本率が右肩上がりに上昇し続けている。

日本では『働き方改革』により労働環境の改善が政策の目玉として取り上げられて久しい。

ブラック企業と呼ばれた知人の会社では、夜の9時を過ぎると自動的に消灯されて残業が半強制的にできなくなったそうだ。仕事を家に持ち帰ろうとしても、コンピューターによる、会社のウェブサイトへのアクセスが自動的に制限されてそれもできない。「良かったね」と半ば冗談で冷やかしたら「仕事時間が短くなっても職員の数が増えるわけではないから」と返ってきた。短時間で以前と同じ量の仕事を同じマンパワーでこなさなければならず、以前に増して、より高いプレッシャーがかかっているらしい。

人間らしく生きるための働き方改革が、その逆の結果になっているのだろうか。企業の収入が増え、会社が裕福になったなら、その分、社員の数を増やし、職員1人当たりの仕事量を減らせばいいのではないか。利益の一部を社員の収入増加や福祉に充当したらどうだろうか。そうすれば、もっとゆとりのある、人間らしく働ける職場になるだろうに、と思うのは私だけだろうか。

世界の持続可能な開発目標(SDGs)の8番目のゴールは「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を達成する」とある。日本がアジアの国々のお手本となるような『働き方改革』が成功することを願いたい。

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