マレーシア

マレーシアが社会保障をインフォーマルセクターへ拡大

マレーシア政府がインフォーマルセクターへ社会保障カバレッジの拡大を推進する[1]。2017年6月1日以降、全てのタクシードライバーは社会保障機構 (Social Security Organisation: SOCSO)が運用する労災補償制度(Employment Injury Scheme: EIS)でカバーされることとなる。掛金は月収の1.25%。

これまで自営のタクシードライバーは労災補償制度の適用対象外(任意加入)だったが、今後は加入が義務付けられる。正規のタクシードライバー(7.3万人)だけでなく、GRABやUBERといった他国では「白タク」とみなされるドライバー(3.5万人)も対象となることも、今回のスキームの特徴と言えそうだ。

EISの法的な枠組みとしては、「自営業者のための社会保障法(Self Employment Social Security Bill 2017)」が近日中に施行される見込み。これは国際労働機関(ILO)の「社会保障条約(第102号)」および「社会的な保護の土台勧告(第202号)」に基づく法改正の一環。タクシードライバーは新法施行から2か月間の猶予期間として与えられ、その間に手続きを済ませることが求められる。

企業勤めの労働者向けの労災スキームでは、保険料1.25%を雇用者が負担することとなっているが、今回のスキームにおいては全額自己負担することとなる[2]。収入が低いタクシードライバーをどの程度カバーできるかが焦点となりそうだ。保険料の減免措置の導入など、今後の動向を見守りたい。


[1] The Sun. 2017. Insurance scheme for self-employed taxi drivers.
[2] Ippei Tsuruga. 2017. マレーシアの社会保障-雇用傷害保険・疾病年金制度.

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