ウズベキスタン

ウズベキスタン、国家戦略推進の強化

2016年9月、ウズベキスタンのカリモフ初代大統領の逝去・体制移行後、ミルジヨエフ新大統領は国内での改革を推進中である。これまで、長年存在した闇両替を廃止、為替の統一化、ビジネスや投資環境の改善等、経済改革が実行されている。2017-18年に、大幅な人事の刷新を徐々に着手し、新体制を構築している。

2019年には政府内の体制や省庁の再編を断行し、新たに運輸省、エネルギー省そして投資・対外貿易省を設立した。運輸分野は道路公社や鉄道公社など実施機関が一部政策立案を担っていた。また電力分野は旧電力省であったウズベクエネルゴが大きな役割を果たしていた。

ウズベキスタンでは、日本等諸外国からの援助や投資の窓口を対外経済・貿易・投資省(MFERIT)が長年になってきたが、ミルジヨエフ大統領は同省を解体し、投資委員会を政府に組織し、機能を直轄化においていたが、今回、MFERITに近い形で省が復活したような格好である。

今回特筆しておきたいのが、新政権による国家戦略面の強化である。ウズベキスタンでは国連や世界銀行等の国際機関の支援で5ヵ年の国家開発戦略などが過去も制定されてきたが、新政権は、2017~2021年までの5つの優先的開発方針に関する行動戦略(Strategy of Actions on Further Development of the Republic of Uzbekistan on Five Priority Areas on 2017-2021)により、様々な改革や事業を推進中である。

新政権は、5カ年計画の実行を進めるべく、開発戦略センター(Development Strategy Center)を設立し、同センターが事業の監督や全体計画の成果の報告を担っている。同センターは非政府組織であり、国際機関やNGO、ドナー、諸外国との対外関係等、連携面を広く担っている。過去、ウズベキスタンの戦略は経済省(現 経済産業省)が担い、国家投資計画といった戦略文書があったが、インフラ・プロジェクトが中心となっており、ガバナンスや法の支配、社会保障や民族共生等の面はあまり取り扱われていなかったため、政策を強化し、実施するために政府側の体制を強化してきたことは明らかである。

2019年、ウズベキスタンは活発的な投資と社会開発の年と制定されている。これを推進するため、政府は新組織ユクサリシュ国民運動(Yuksalish National Movement)の設立を認可した。同組織が政府機関や地方行政と連携して様々な取り組みを促進することが期待されている。

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