ヨーロッパ・中央アジア

国際社会による中央アジア地域支援

Photograph: Kazuki Shimojo
Photograph: Kazuki Shimojo

国際社会は中央アジア5カ国の独立後、ODAによる支援を中心に関与を拡大してきており、開発援助の動向を見ると、近年同地域で大きな役割を果たしているのは、世界銀行(WB)とアジア開発銀行(ADB)といった国際金融機関(IFIs)です。独立直後は欧州連合(EU)や欧州開発復興銀行(EBRD)の活動が目立つ時期もありましたが、現在ではアジア開発銀行(ADB)による中央アジア地域経済協力(CAREC: Central Asia Regional Economic Cooperation)によるエネルギー及び運輸交通分野を中心した整備枠組みをプラットフォームとして、各援助機関がその枠組みに沿ったで形で支援を続けてきています。近年は、同地域に対する開発援助のアクターが増え続けており、イスラム金融による融資がイスラム開発銀行やクウェート基金等により行われています。また、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設加盟国に4カ国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス共和国、タジキスタン)が含まれており、更にBRICs銀行の設立も控えていることから、同地域に関与する開発援助アクターは更に増えていくことになり、援助機関同士の連携がこれまで以上に重要になっていきます。

二国間援助では、独立後から米国(USAID等)、ドイツ(GIZ及びKfW)、日本(JICA(旧OECF・JBICを含む)/JBIC(旧日本輸出入銀行))、最近は韓国(KOICA及びEDCF)やトルコ(TICA)が支援を実施しています。中国は中国輸出入銀行等による借款による支援で経済インフラ、社会セクター(教育、医療)、潅漑等様々な分野で支援を実施しています。日本は中央アジア諸国の独立直後から、ODAによる有償資金協力(円借款)を活用し、経済インフラである電力・運輸交通分野を中心に支援をしてきました。特筆すべき例としては、ウズベキスタンでは、近年、ソ連時代の老朽化したインフラの更新や効率化に高いニーズがあり、電力セクターでは、「タリマルジャン火力発電所近代化事業」(WB/ADB/JICAによる協調融資)や「ナボイ火力発電所近代化事業(ナボイII)」を、運輸交通セクターでは、「タシグザール・クムクルガン鉄道新線建設事業」(JICA)、「カルシ・テルメズ鉄道電化事業」(ADB/JICAによる協調融資)などの事業を展開しています。

日本は円借款によるハード面での支援だけでなく、ソフト面でも多大な貢献を行ってきました。技術協力予算により、留学生受入れによる将来を担う若手人材の育成とともに、政府職員の能力向上のため研修員受け入れ事業を行い、これまで5カ国から約7200人(2013年12月末時点)をJICAによる技術協力制度で日本に受け入れています。またJICAによる留学生支援無償(ウズベキスタン、キルギス共和国、タジキスタンが対象)により約420人(2014年12月末時点)が日本の大学院で受け入れられました。また、日本センターがウズベキスタン、カザフスタン、キルギス共和国の各首都に開設され、民間セクター人材開発のプログラムを提供しています。さらに、日本から法整備、民間セクター、農業・潅漑、防災分野等で多くの日本人専門家が現地へ派遣されてきました。

日本はUNDP等の国際機関とも連携し、同地域のODAを実施しています。域内協力が重視される中、日本はUNDPと連携し、クロスボーダーの取り組みとして、アフガニスタンとタジキスタン国境地帯のコミュニティ開発による貧困削減・生計向上プロジェクトや国境管理強化のためのプロジェクトを展開しています。キルギス共和国では防災プロジェクトを実施し、「中央アジア+日本」対話の枠組みと連携して、中央アジア諸国が域内の防災分野の協力推進するための地域内フォーラムの形成支援を行ってきました。また、UNDPは日本政府が多くの資金を拠出する人間の安全保障基金からの支援でウズベキスタンにおけるアラル海環境問題の影響を受けたカラカルパクスタン自治共和国におけるコミュニティ開発も支援してきています。

 

※複数回にわたって、シリーズ「日本による中央アジア地域支援の展望-安倍首相中央アジア訪問に寄せて」を掲載していきます。

 

寄稿者: 中央アジア・コーカサス開発研究会

  • 二瓶直樹(国連開発計画対外関係・アドボカシー局)
  • 飯尾彰敏(元中央アジア地域有償資金協力専門家、JICAエチオピア事務所)
  • 齋藤竜太(筑波大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程)

特集: 日本による中央アジア地域支援の展望

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