バングラデシュ

バングラデシュのコメ作り

3月にバングラデシュを旅行した。日本のNGOシェア・ザ・プラネットの筒井哲朗代表理事に同行して、同NGOが東部のジェナイダー県で展開している節水技術導入による持続型農業事業の視察をするのが主な目的だった。

バングラデシュの主食といえばコメ。国民1人当たりのコメの消費量は世界でもトップクラスだ。日本人にはなじみが薄いインディカ種の長粒米だが、右手でカレーと混ぜてすくうように食べ、なじむと忘れがたいほど好きになる。

この国はアジアの最貧国の一つというイメージで長い間、知られてきたが、とんでもない。昨年はGDPの年間成長率が8%に届きそうなスピードで経済発展を遂げている。2-3年後には中進国の仲間入りをする勢いだ。とはいえ、貧富の差はさらに開き、農村部は昔のまま貧しい。

バングラデシュの国土全体の井戸水の約3分の2がヒ素に汚染されているといわれ、その水を飲み生活する人々の間でヒ素中毒の危険性が大きな問題になっている。近年、食料増産運動の高まりとともに、乾季の農業用にポンプによる地下水のくみ上げ量が増加し、ヒ素汚染にさらなる悪影響を与えているといわれている。

このため、シェア・ザ・プラネットは地球環境基金などの協力で、現地NGOと共同で村落レベルにおける節水型農業技術の伝搬に力を注いでいる。乾季に灌漑により稲を作る経験の浅い農民たちは、田植えから刈り取り間際まで常時水を張るのが当たり前だと信じていた。間隔を置いて灌漑を停止し水田から水を抜くことにより、稲の根が強くなり節水ができることをこのプロジェクトから習い感謝していた。水の使用量が減って環境に対する負荷を軽減するとともに、水をくみ上げるポンプの電気代も節約できて、農民たちの収入も増加することが期待されている。

もう一つの取り組みは、農業用ため池掘削事業だ。バングラデシュの農村では雨の降らない乾季に備えて生活用のため池は至る所にあるが、農業用に農地の一部をつぶして、そこにため池を掘る発想がほとんどなかった。農民たちの合意を得てため池が作られ、雨季に水がたまり、乾季にため池から水を引いて近くの畑でコメを作ることが可能になった。これなら地下水をくみ上げなくて済む。池のほとりで野菜を生産し、魚を養殖することもできるようになった。農民たちの賞賛を得たのは言うまでもない。これから始まる第2期の事業では、池を掘るに当たり受益者たる農民たちの自助努力をより多く引き出す努力がなされるだろう。

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