エチオピア

アフリカ式マネジメントTIA (This Is Africa)-ガンベラ難民キャンプ

ガンベラ難民キャンプ

2013年12月15日に南スーダンの首都ジュバで始まった内戦は2018年11月現在も続いております。約5年間に渡って続く紛争の影響で、30万人以上の南スーダン難民がエチオピア・ガンベラ州に避難しています。私が所属していた団体では、紛争直後の2014年からニーズアセスメントを開始し、難民の命を救うための緊急支援事業として、水・公衆衛生分野で活動を開始しました。

南スーダンの戦火から命からがら逃げてきた人たちは、エチオピアとの国境付近にてまず難民登録を受けます。難民として認定される以前は、「庇護民」として、国境付近のエントリーポイントにて待機し、その後「難民」として認定された人々は、ガンベラ州に数か所存在する難民キャンプに搬送されます。

難民キャンプに到着すると、一家庭一テントが割り振られ、難民キャンプでの生活がスタートします。難民一家庭につき、一つのテントが割り振られ、そこで難民キャンプでの生活がスタートします。私の活動していたクレ難民キャンプでは約5万人の難民が暮らしており、私の知る限り20-30程度の国際NGOや国連団体が常時、食料、教育、公衆衛生、保険、収入向上、保護、水、等々の分野にて、エチオピア政府とともに、難民キャンプでの人々の生活環境向上や保護のために活動をおこなっておりました。

それぞれの団体の活動が円滑に、重複することなく進むように、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が各援助団体の活動の取りまとめと調整の役割を担っています。我々団体は、水、公衆衛生分野においてトイレの建設や、水の供給、公衆衛生知識の啓発などの分野にて、事業を進めておりました。

THIS IS AFRICA

南スーダン、エチオピアの国境付近にて、難民登録を受ける子ども

所属していた国際NGOのプロジェクトアシスタント(後にプロジェクトマネージャー)として、事業全体の企画、運営、管理に関わりました。私が所属していた団体では現地スタッフが常時20-30人おり、スタッフの採用、モチベーション、パフォーマンスの管理、事業の進捗管理、他団体とのコーディネーションを主には担当しました。
始めての海外勤務、僻地での勤務、言語の壁、最高気温は時に45度近くにもなる生活環境、不安定な治安、基本的には日本人が駐在員が一人という環境の中で現地職員を束ねるということ、壁等々、多くのチャレンジがありました。その中でも特に苦労したのが、現地スタッフのマネージメントでした。

本NGOの仕事に就く以前は、新卒で入社した商社にて3年4ヵ月程勤務をした経験しかなかったため、現地にてプロジェクトマネージメントの役割を担うことになった際に、「日本式のマネージメント」を善としたマネージメント形式を強く推し進めてしまいました。

日本の商社で人事の役割を担っていたこともあり、赴任してまず最初に取り組んだのは人事制度の確認と整理でした。その一つとして、勤務開始時間8時30分までには必ずオフィスに来て勤務表にサインをすることをスタッフと確認しました。

この制度を確認した次の日に8時30分にオフィスにて不安と期待の気持ちでスタッフを待っていましたが、案の定誰も8時30分 にはオフィスには現れませんでした・・・。早いスタッフで9時、遅いスタッフとなると10時に現れるスタッフもいました。

私の役割、最大のチャレンジ、発見

スタッフとの写真

これはアフリカでは良くあることで、他の団体の国際スタッフもTIA(This Is Africa)だから、Don’t worry, take it easy (心配するな、楽にいこう) といって、笑いながら乗り越えていましたが、赴任当初は、成果を上げたいという気持ち、ルールを守ることが当たり前の中で育った自分としては、ルールを守れないスタッフが信じられず、精神的に苦労しました。

これを乗り越えるために、最初はルールの徹底、ルールを守れないスタッフに対して、叱咤してしまうこともありましたが、数か月過ぎたあたりで、怒ってルールを徹底しても何も変わらないこと、そして最も重要なことは「スタッフと強固な信頼関係を築く事」 だと気づきました。

スタッフと過ごす時間を大事にすること。

たまに、ご飯を一緒にしながら、悩みや話を聞くこと。

サッカーを一緒にしたり、飲みに行ったり、踊りに行ったりしながら、冗談を言い合ったり笑いあったり、時には将来のプランについて真剣に話したりする中で、本当の深い信頼関係ができていくことに築きました。

これは自分中では大きな築きで今の国連での仕事でも大事にしていることですが、信頼関係ができると、マネージメントが格段に楽になりました。ルールをしつこく確認しなくても、自発的にスタッフがオフィスに8時30分の勤務時間前には現れ、時には土日でも自発的に働いてくれるようになりました。

事業も軌道に乗り、団体としてのパフォーマンスも高まり、ドナーからの信頼も厚くなるという正のサイクルを生み出せたことは自分の中でも自信に繋がる成功体験となりました。

次回は、事業地にて銃撃戦に巻き込まれた経験について、ご紹介したいと思います。

連載『サッカー選手の夢破れ、国際協力の世界へ』

高校時代に自身が経験した貧困体験、サッカー選手になれなかった悔しさを元に、国際協力の専門家になることを夢見て一念発起。JICAでのインターン、総合商社、国際NGO、英国大学院を経て国際機関で勤務する筆者の経験談をシリーズで語っていきます。

  1. 開発の仕事を志すようになったきっかけ
  2. 開発の仕事に就くまでの道のり(JICAインターン→総合商社→NGO)
  3. 難民キャンプでの2年間の経験について (1)
  4. 難民キャンプでの2年間の経験について (2)
  5. 難民キャンプでの2年間の経験について (3)
  6. 現場NGOでの仕事→IDSでの修士号取得について
  7. UNDPでの仕事について
  8. 民間、NGO、国連という選択肢の比較について

THE POVERTIST 2018年12月1日号 | The Povertist

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THE POVERTIST 2018年11月1日号

何の変哲もない日常に課題は潜んでいる。バンコクの街角のお粥屋での日常を切り取った一枚。この一枚には食、女性、労働、経済、産業といった日常が詰め込まれている。路上へ出てみて欲しい。何もない普通の日常に課題が潜んでいる。 …

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